こんにちは、お菓子歴16年プロ歴6年目のるいです。
皆さん、お菓子作りのとき砂糖は何を使っていますか?
今回は6種類の砂糖を使ってクッキーの焼き比べ実験です。
この記事を最後まで読んで理想の砂糖選びのヒントを持っていってくださいね♪
この記事を読めばわかること
- 砂糖それぞれの特徴と焼き上がり方
- 代用していい砂糖とダメな砂糖
- 自分好みの砂糖選びのヒント
*この記事はプロモーションを含みます。
砂糖6種の焼き比べ
今回使用するレシピ
今回は著・すみれさんの「何度でも作りたいクッキーと焼き菓子」より「型抜きクッキー」のレシピを参考に実験用の生地を仕込みました。
お砂糖以外の材料はすべてレシピ通り、厚みも焼き時間もレシピと同様です。ここではレシピについて詳しいことを書けないので気になる方は以下のリンクをのぞいてみて下さい。
焼き比べラインナップ
今回使用した砂糖は以下の6種類です。
特徴 | |
きび砂糖(粉末タイプ) | 茶色・サトウキビ由来のミネラルを含む |
上白糖 | 表面に転化糖がかかっている |
粉糖 | 粒子がとても細かい |
グラニュー糖 | お菓子作りに1番使用される基本のお砂糖 |
細目グラニュー糖 | 製菓用に通常より粒子を細かくしたグラニュー糖 |
トレハロース | 砂糖の38%の甘味度・後を引かない甘さ |
それぞれの詳しい特徴については結果発表の後に説明していきます。気になる方はスクロールしてご覧ください。
結果発表
焼き色
全て同じ温度、焼き時間ですがこんなにも焼き色が違う結果になりました。
焼き色が濃い順に並べるとこうなります↓
- 上白糖
- きび砂糖
- 粉糖
- 細目グラニュー糖
- グラニュー糖
- トレハロース
焼く前に一番濃い色をしていたのは、砂糖自体に色がついているきび砂糖でしたが焼き上がりは上白糖が上を行きました。これは上白糖の表面にまぶされている転化糖が影響していると考えられます。転化糖は糖類の中でも焼き色が付きやすいのです。
逆に一番色の薄いトレハロースは褐変(メイラード反応・焼き色がつく事)しにくい性質あります。今回の実験ではその性質が顕著に表れたといえます。
色の付き方から分かること
- 転化糖>>砂糖>>トレハロース、の順で焼き色が付きやすい
- 焼き菓子において短時間の焼成で焼き色が付けたい時は上白糖や転化糖を使用する
- 色を付けたくない時はグラニュー糖か、グラニュー糖とトレハロースを併用する(トレハロースはそれだけで使う事がほとんどありません)
- きび砂糖はもともと茶色なのでムラなく綺麗な茶色に焼きあがる
- 細目グラニュー糖の方が通常のグラニュー糖より若干焼き色が付きやすい
表面のテクスチャー
表面のテクスチャーにも若干ですが差が出ました。なめらかなものから若干ぼこぼこと凹凸が目立つものもありますね。型抜きクッキーにおいては表面が滑らかな方が見栄えがいいかと思います。
なので今回はなめらか→ぼこぼこの順に並べてみましょう。
- 粉糖
- 上白糖
- きび砂糖
- トレハロース
- 細目グラニュー糖・グラニュー糖
このように順位を付けてはみましたが正直、「粉糖・上白糖・きび砂糖」「トレハロース・細目グラ・グラニュー糖」というくくりで見るとあまり差を感じませんでした。
この結果から考えられるのはなめらかに仕上がるのは粉糖のように細かく溶けやすいもので、凹凸が目立つのはグラニュー糖のように粗く溶けにくいもの、ということです。
表面のテクスチャーから分かること
- なめらかな表面にしたいなら粉糖、上白糖、きび砂糖を選ぶ
- 表面の凹凸にこだわらないならどの砂糖を選んでも良い
お味
いよいよ、お菓子として一番大切な部分である味覚部門です!!
ですが、味覚に関しての評価は主観が入るため難しいもの…
ということで「これだけははっきり言える」ということを1つ。
トレハロースのみでクッキーは作らない方がいい!!
これにつきます。もちろん、トレハロースはとても優秀な糖質です(詳しくは下スクロールで個別の説明へ)。ですが、甘味度が砂糖の38%と半分にも満たないのでトレハロース一本で作ると味がしませんでした。やはり美味しいものは脂肪と糖で出来ている、というのは本当だったようです。
その他のお砂糖は特に大きな差がありませんでしたが私の主観で行くと若干上白糖が甘く、きび砂糖を使ったものは素朴さが増していた気がします。
味の違いから分かること
- トレハロースのみで焼くと甘みが足りないので他の砂糖と併用して焼くと良い
- 理論的にみると上白糖にまぶされている転化糖が他の糖より甘味度が高いので甘く感じる
食感
食感は微妙な差ではありますが違いがありました。主観での感想をどうぞ↓
音や歯ざわり | |
きび砂糖 | カリ、ザク。硬いわけではないちょうどいい歯ごたえ |
上白糖 | ザク、ザク。きび砂糖より少し固め |
粉糖 | サクサク。一番軽やかな食感。他にはないサクサク感 |
グラニュー糖 | ザック、ザック。一番固い印象。歯ごたえ抜群 |
細目グラニュー糖 | ザク、ザク。上白糖より気持ち硬い |
トレハロース | ファサ、サク。軽い食感。どことなくパイのような層を感じる |
軽い→硬い順に並べるとこうなります。
- 粉糖
- トレハロース
- きび砂糖
- 上白糖
- 細目グラニュー糖
- グラニュー糖
注意)硬いといってもちゃんと美味しく食べられる硬さです。
食感に関しても人それぞれ好みがあるので何とも言えませんが、どれも美味しく食べられる硬さでした。
まとめ
4項目で結果を見てきましたがいかがでしたか?
今回の結果をまとめるとこんな感じでしょうか↓
- トレハロース全量置き換え以外はどのお砂糖も問題なく代用できる
- 型抜きクッキーには焼き色と表面のなめらかさからきび砂糖・上白糖・粉糖が向いている
この結果は基本的な型抜きクッキーのレシピであればそのまま当てはめることが出来ると思います。例えば、指定されている粉糖がない時は上白糖に。細目グラニュー糖がない時は通常のグラニュー糖に置き換えることが出来ます。
自身でレシピを組み替えるときも軽くしたければ粉糖、白めに仕上げたいならグラニュー糖といった具合に参考なると思います。
余談ですが今回使用させていただいた著・すみれさんの「何度でも焼きたいクッキーと焼き菓子」のレシピではきび砂糖が使用されていました。きっとすみれさんは焼きムラ、表面のテクスチャー、食感や甘みにまでこだわってきび砂糖を選択されたんだな、と思いました(主観です)。
まずはレシピ通りに、そして今回の結果を参考に自己流のアレンジを加えて作ってみるのも楽しいですよ♪
以下、今回使用したお砂糖それぞれを簡単に説明しています↓
お砂糖・簡単解説
きび砂糖
きび砂糖はサトウキビ100%で作られたお砂糖で、白砂糖とは違いミネラルなどの栄養成分やうまみ成分を残す製法で作られています。粉末、顆粒、液体と形は商品によってさまざまなのでお菓子作りには粉末タイプを使用するのがいいでしょう。同じ茶色をした「三温糖」とよく似ていますが別物なので注意が必要です。
きび砂糖でクッキーを作ると綺麗な焼き色、なめらかな表面、程よい歯触りに仕上げることが出来ます。
上白糖
こちらは日本の家庭ではおなじみのお砂糖ですね。実はこの上白糖、アジアの一部の地域でのみ消費されておりヨーロッパではほとんど使用されていません。その為、洋菓子業界ではグラニュー糖を使う頻度が高いのですが上白糖にはグラニュー糖にはない良さがあります。それは「しっとりする」と「焼き色がつきやすい」ということです。これは上記でちらっと書いた転化糖の効果です。しっとり好きの日本人にぴったりのお砂糖といえますね♪
クッキーはもともと水分量が少ないので「しっとりする」効果は実感できませんがパウンドケーキなど卵を多く配合するもので本領を発揮してくれます。
粉糖
粉糖はグラニュー糖を粉末状にしたものです。細かいので水分の少ない生地にも溶けやすく作業がしやすいのが特徴です。特に絞りだしクッキーやメレンゲクッキーの後入れには粉糖をおすすめしています。溶けずに砂糖の結晶は残ると仕上がりが変わってしまうようなものには粉糖を使用しましょう。
粉糖には湿気によりダマになるのを防止するためにコーンスターチやオリゴ糖が配合されているものがありますがクッキーに使用する分にはどれを選んでも大丈夫です。(泣かない粉糖、プードルデコールなどデコレーション用は別物なので注意!)
グラニュー糖
世界で最も消費量の多い砂糖であり、世界的には「砂糖=グラニュー糖」といわれています。さらさらとしていて甘みにクセがないのでどんなものにも使用できます。
細目グラニュー糖
こちらは通常のグラニュー糖より粒子を細かくしたものです。粒子が細かいことで溶けやすく生クリームやメレンゲを泡立てるときに向いています。今回の実験では通常のグラニュー糖との差があまり出なかったことから細目グラニュー糖が指定されているレシピを通常のグラニュー糖に置き換えても問題のないことが分かります。
トレハロース
最近では100円ショップで販売されるほど一般的にも認知度が上がって来た甘味料です。この「トレハロース」は甘味料でありながらしっとり食感を長持ちさせたり、果物の酸化による変色を抑えたりと様々な利点があります。一般的にレシピの糖分の一部に置き換えて使用されます。
トレハロースの特徴
- 焼き菓子やパンのパサつきを抑える(でんぷんの老化防止効果)
- グラスアローや飴をパリッとさせる(ガラス化に優れている)
- 酸化による果実や野菜の変色を防ぐ
- ゼリーの離水を防止する(保水に優れている)