こんにちは、お菓子歴16年プロ6年生のるいです。
カスタードクリーム。フランス語では「クレーム・パティシエール」といい「お菓子屋さんのクリーム」として親しまれています。
親しまれている分、同じ名前の「カスタード」でも星の数ほどレシピがあります。基本的な材料は卵・砂糖・牛乳・バター・バニラ、そして「粉」です。レシピの違いが分かりやすいのはこの「粉」の部分ではないでしょうか?
薄力粉、コーンスターチ、強力粉、フランパウダー…様々な粉を使うレシピがありますがどのレシピが美味しいか、自分好みかわからないことありますよね。
今回はそんなお悩みを解決すべくカスタードに使用する「粉」を変えて炊き比べをしました♪
この記事を読めば・・・
- カスタードの「粉」を変えたらどうなるのか、代用していいかわかる
- イメージした食感に近いレシピを選べるようになる
- 既存のレシピを自分好みにアレンジするヒントが見つかる
炊き比べやお菓子の実験が好きなあなたにはこの記事もおすすめです↓
注意)実験の結果は全て私の主観的な感想です。データに基づく科学的根拠はありませんので批判・反論はご遠慮ください。
*この記事はプロモーションを含みます。
カスタード「粉」を変えた炊き比べ
今回使用するレシピ
今回使用・参考にしたレシピは「美しいフランス菓子の教科書」よりクレーム・パティシエールです。このレシピ本はフランスをはじめヨーロッパ各国でベストセラーとなった聞いて使用しました。
「粉」の種類以外はは全てレシピ通りです。「粉」の量は全て同じです。
ここでは詳しいレシピについてお話できませんが、とっても美味しくて作りやすいレシピなので気になる方は以下のリンクをのぞいてみて下さい。
炊き比べラインナップ
事前にTwitterでアンケートを取った結果「薄力粉」「コーンスターチ」を使用している人が多いことが分かました。
その他にも「薄力粉とコーンスターチを1対1」という意見も多かったので今回は「薄力粉」「コーンスターチ」「薄力粉とコーンスターチ1対1」の3種類で実験していきます。
結果発表
どれがどの粉で作ったかわかりますか?
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・正解は左から「薄力粉」「薄力粉&コーンスターチ」「コーンスターチ」です。
上段は出来上がったカスタードをほぐして絞った、下段はほぐしたカスタードをスプーンで擦り付けた、中段はカスタードに生クリームを合わせた「クレーム・ディプロマット」を絞ったものになっています。
見た目「色」
写真ではわかりにくいかもしれませんが少しづつ色が違いました。
色が濃い順に並べるとこうなります。
- 薄力粉
- 薄力粉&コーンスターチ
- コーンスターチ
卵は同じパックの物を使用したので黄身の色に差がないと考えると薄力粉のコーンスターチの体積の差が関係しているかもしれません。
薄力粉100gとコーンスターチ100gを比べると同じ100gでもコーンスターチの量が多く見えます。コーンスターチの体積が大きい分、卵の黄色が薄まって見えたのではないでしょうか。
炊きあがりの色から分かること
- 色が濃さを求めるなら「薄力粉」を使うと良い
見た目「エッジ・角がたつ」
カスタードは泡立った生クリームと合わせた「クレーム・ディプロマット」を飾りとして絞ることがあります。特に「パリブレスト」というお菓子ではディプロマットのエッジが効いていないと格好良く仕上がらないので重要なポイントになってきます。
と、いうことで絞ったものを見比べると意外な結果が出ました。
上段・カスタードのみで一番エッジが効いている→コーンスターチ
中段・カスタード&生クリームで一番エッジが効いているもの→薄力粉
生クリーム有と無で1番が変わりました!これは後の項目で出てくる「弾力」が関係していると考えられます。
薄力粉で炊いたものはコーンスターチに比べてもちもちと弾力があるのでそれだけでは絞りにくく、逆に泡立てた生クリームを加えるとちょうどいい硬さになって綺麗な角が出ました。
コーンスターチで炊いたものは程よい硬さで綺麗に絞ることが出来ますが、生クリームを加えると薄力粉より柔らかいので角の出方では負ける印象です。
エッジの出方でわかること
- パリブレストや絞りを見せたいシュークリームにより向いているのは「薄力粉のカスタード」
- 「コーンスターチのカスタード」は生クリーム有でも無しでも綺麗に絞ることが出来る
お味
さて、一番肝心な「味」を見ていきましょう。粉以外同じなら味は同じなのでは?と思うかもしれません。正直私もそう思ってました。
結果はこうなりました↓
カスターのみ | カスター&生クリーム | |
薄力粉 | ・一番味が濃い ・重厚感がある | 卵感を強く感じる |
薄力粉&コーンスターチ | 他の2つの中間 | 他の2つの中間 |
コーンスターチ | ・軽くてあっさり ・単体で苦なく食べられる | ・クリーミー ・ミルク感を強く感じる |
コーンスターチ<薄力粉&コーンスターチ<薄力粉の順で味が濃くなる結果になりました。これは硬さの違いによる咀嚼の関係で感じ方が変化していると考えられます。一般的によく噛む方が味を強く感じるあれです。
味の感じ方は違えど、どれも美味しいので用途ごとに使い分けてあげましょう。
味が濃く感じられる「薄力粉のディプロマット」はフルーツタルトに、軽くてあっさりしている「コンスターチのカスタード」はWシュークリームなどに向いていると感じました。
味覚審査でわかること
- 「薄力粉」でも「コンスターチ」でも「両方」でも美味しくできる!
→この3つは味の面で代用可能 - 用途によって作り分けることでスイーツの美味しさがレベルUPする
例)薄力粉のディプロマット→フルーツタルトなど他素材の味が強いお菓子に
コーンスターチのカスタード→Wシュークリームのようにクリームたっぷりのお菓子に - 困ったらいいとこどりができる「薄力粉&コーンスターチ1対1」がいい!
食感
前項で硬さの違いで味の濃さが違うと記しました。ここではそれぞれの食感についてもう少し詳しく解説していきます。
薄力粉→弾力があり「もっちり」している
コーンスターチ→なめらかでさらっとしている、歯切れが良い
薄力粉&コーンスターチ→柔らかくも少しもっちりとした弾力を感じる
写真を見てみると薄力粉のカスタードのみを絞ったのは形が少しいびつなのが分かります。これは弾力があり絞り終わりにすっと切れなかったためです。もっちりとしているので絞る力を抜いても「にょーん」と伸びます。
逆にコーンスターチの方は薄力粉のみに比べて絞りやすいです。食感も歯切れが良くすっと食べることが出来ます。
くちどけ
カスタードの命ともいえる「くちどけ」。もう予想がついているかもしれませんが、くちどけが良くなめらかな順に並べるとこうなりました。
- コーンスターチ
- 薄力粉&コーンスターチ
- 薄力粉
下段のお皿に擦り付けたクリームを見てみるとそのなめらかさが伝わってきます。
薄力粉を使用するとグルテンが発生しますが、コーンスターチはグルテンができません。その為とてもなめらかに仕上がります。
薄力粉はもっちりしている分、伸びがコーンスターチに劣りますが生クリームと合わせることで気にならなくなります。
まとめ
「見た目」や「味」「食感」など5つの項目で比べてきましたが、私の感想はこうです。
- どの粉を使用しても美味しくできた
- 用途によって「粉」を変更するべき(硬さや味の出方が変化するため)
(注意)レシピの作者は色々考慮して粉を決めているはずなので、まずはレシピ通りに作ってアレンジが必要な時だけ。 - 迷ったら間をとって「薄力粉&コーンスターチ1対1」
今回も有意義な実験になりました。一度に食べ比べないとわからない微々たる差でしたが、こだわりのカスタードにまた一歩近づける気がします!
今回のレシピではどの粉で作っても問題なく美味しくできましたがカスタードは粉以外にも「卵の量」「牛乳の量」合わせる「生クリームの量」等様々な要素で構成されているので1番最初からアレンジをするのは危険です。まずはレシピ通りに作ってからアレンジに挑戦してみましょう。
以下、今回使用したレシピや材料を紹介していきます♪
おすすめレシピ本
改めて、今回の美味しいカスタードのレシピは「美しいフランス菓子の教科書」より拝借いたしました。
ヨーロッパでベストセラーになったレシピ本が日本語訳されたものです。なんと1冊287ページもあって約100個ものレシピが掲載されています!「お菓子の図鑑」といっても過言ではないないくらい大容量です♪
基礎的な材料・技法の説明から様々なフランス菓子のレシピまでこの1冊で学べることが山ほどありました!なにより可愛いイラストと綺麗な写真で眺めているだけでワクワクしますよ♡
これからお菓子作りを始める方にも、お菓子作り上級者さんにもおすすめしたいこれさえあればなんでも作れる心ときめく1冊です。
コーンスターチ
コーンスターチとはトウモロコシを原料とするでん粉です。
洋菓子のレシピではちょくちょく登場します。歯触りが良く、さっくりと軽い食感になるのでクッキーなどにも使用されます。