パウンドケーキには様々な作り方があることをご存知ですか?実はざっくり分けて5種類もの作り方があるんです!
パウンドケーキの主な材料は「バター・砂糖・卵・小麦粉」の4つなのに5種類も作り方があるなんて不思議ですよね。
今回はそんな疑問をもつ人のために、近年よく採用されている作り方「シュガーバッター法・フラワーバッター法・ジェノワーズ法」の3種を焼き比べました。結果、「見ため」と「食感」に大きな差が出ることがわかりました。
この記事を読むとそれぞれの作り方の違いや、仕上がりにどのような差が出るのかを知ることができます。

お菓子作り歴16年、パティシエ歴6年目の私がわかりやすく解説します!
国家資格「菓子製造技能士2級」を取得済みなので安心してご覧ください♪
*この記事はプロモーションを含みます。
*この記事があくまでも個人の見解を綴ったものです。この記事や結果に対するクレーム・批判・誹謗中傷はご遠慮ください。
パウンドケーキの作り方 焼き比べ実験方法
今回は近年のレシピでよく採用されているこの3種で焼き比べました。それぞれの詳しい作り方は下記で紹介しています。よくわからない方はスクロールして、そちらを先にご覧ください!
シュガーバッター法 | バターと砂糖を泡だて、卵と粉類を混ぜ合わせる |
フラワーバッター法 | バターと粉類を泡だて、砂糖、卵の順で合わせる |
ジェノワーズ法(共立て法) | 卵と砂糖を泡だて、粉類、溶かしバターの順で合わせる |
材料・配合・焼成などの条件は全て同じ、レシピは4同割(バター・砂糖・卵・小麦粉が同じ分量)にベーキングパウダーを加えたものを使用しての実験です。
パウンドケーキの作り方 焼き比べ実験結果

結果は写真のようになりました。ここからは「見ため(膨らみ)・食感・味・作りやすさ」の違いを発表します。
見ため(膨らみ)

パウンドケーキ作りで大切な「見ため・膨らみ具合」をみていきましょう。
1番膨らんだのはジェノワーズ法です。
バターより空気を含みやすい卵を泡立てて作るので他の2つより膨らみます。膨らみ方の特徴は「割れは他に比べてできにくく、縦に伸びるように膨らむ」とわかりました。
高さが出やすく、生地に砂糖が綺麗に溶けているので焼き色が若干濃くなります。型外れが少し悪いので直接型に流すのはおすすめできません。
2番目に膨らんだのはシュガーバッター法です。
こちらはぷっくりと膨らみ綺麗な割れができました。イメージされるパウンドケーキの見ために近いものですね。
バターと砂糖を合わせ、白っぽくふんわりするまで泡立てると綺麗な割れができやすくなります。
3番目はフラワーバッター法です。
ちゃんと膨らみ割れ目ができますが、他の2つに比べる弱い結果になりました。製造過程でも1番空気を含みにくいと感じたのがフラワーバッター法でした。今回は型に対して生地の量が少なかったため割れが小さいですが、量を増やすorレシピを変えることで膨らみや割れめの改善が期待できます。
ジェノワーズ法
よく膨らむので入れすぎ注意。
スポンジケーキのように縦に膨らむので底面を表するウィークエンドシトロンに向いている
シュガーバッター法
よく膨らみ、ぷっくりとした割れが綺麗にでる。
フラワーバッター法
膨らむが、他の2つに比べると膨らむ力が弱い。
食感

パウンドケーキは「しっとり・ずっしり・ふんわり」など、食感がさまざまです。今回の焼き比べでは食感の差が顕著に出たので解説します。
一番しっとりしていたのは「フラワーバッター法」です。
断面を見ても一番キメが細かく、舌触りがなめらかでした。これはバターに小麦粉を混ぜてから卵を加えたことでグルテンができにくくなったことが要因だと考えられます。グルテンが少ないのでさっくりとした歯切れの良さもあります。
1番ずっしり感じたのは「シュガーバッター法」です。
しっとりしていますが、フラワーバッター法に比べてずっしりとした印象を受けました。シュガーバッター法は卵の後に粉を入れるのでグルテンが形成されやすくなります。グルテンの骨格がしっかりしているため噛む回数が多くなるのが要因だと考えます。気泡をたくさん含んでいるのでほろりと崩れるパウンドケーキらしい食感も楽しめます。
1番ふんわりしたのは「ジェノワーズ法」です。
ジェノワーズとはフランス語でスポンジケーキを意味しています。スポンジケーキのように卵を泡立てて作るのでふんわり軽い仕上がりました。スポンジケーキと違って卵と同量のバターがはいるのでふわっふわっとはいきませんが、パウンドケーキとスポンジケーキの中間をとったような食感です。
しっとり→フラワーバッター法
ずっしり→シュガーバッター法
ふんわり→ジェノワーズ法
味
同じ材料を同じ分量使っているにも関わらず、味の感じ方にも差が出ました。
フラワーバッター法はあっさりシンプルな味わいです。プレーンのバターケーキとしては物足りないと感じる方もいるかもしれません。
しかし、あっさりしている分抹茶やフルーツなど繊細なフレーバーを際立たせてくれます。
シュガーバッター法はパウンドケーキらしい濃厚な甘味を感じます。食べ応えがあるので一切れでも満足できます。
ジェノワーズ法はバターの風味を強く感じます。溶かしバターを使っているのが要因だと考えられます。冷たく固いバターより溶けたバターの方がより強く味を感じることと関係があるのではないでしょうか。
どれも違いがありつつも美味しかったです!
作りやすさ
お菓子作りにおいて作りやすさはとても大切なポイントですよね。
特にパウンドケーキは、卵がたくさん入るので乳化が難しいお菓子だと言われています。どの方法も難しいものではありませんが、客観的に作りやすいと感じた順に並べるとこうなります。
- フラワーバッター法
- シュガーバッター法
- ジェノワーズ法
フラワーバッター法は、バターと先に合わせていた小麦粉が卵の水分を適度に吸ってくれます。そのおかげで乳化がとても簡単になります。
乳化で失敗しにくいので初心者さんやどうしても乳化がうまくいかない人におすすめです。
ただ、卵がバターよりも多いレシピで行うと失敗してしまう可能性が高くなるのでできるだけ同量のレシピを選びましょう。
シュガーバッター法は、1番普及している基本的な作り方です。乳化の工程が難しいのがデメリットですが、きちんとポイントをおさえると問題なく作ることができます。
ジェノワーズ法は、ふんわりと泡立てた卵に小麦粉を混ぜる工程があるので他の2つに比べて難易度が少し上がります。小麦粉のダマができやすいので少し大きめのボールを使って手早く混ぜるのがポイントです。
溶かしバターは生地の一部としっかり乳化させてから合わせましょう。こうすることで分離を防ぎ、確実に乳化できます。
パウンドケーキの作り方 【シュガーバッター法】
シュガーバッター法の基本的な作り方は以下の通りです。
- クリーム状のバターに砂糖を加えて白っぽくなるまでよく泡立てる
- 全卵を数回に分けて加える
- ふるった粉類をくわえて粉気がなくなるまで混ぜる
- 焼成

個人的には全卵→粉類→全卵→粉類の順で半量ずつ混ぜ合わせるのがおすすめです。粉類を途中で加えることで小麦粉がつなぎの役割を担ってくれます。グルテンが出やすくなるので混ぜすぎには注意です!バターは20〜22℃、卵は24℃がベストです。
シュガーバッター法のメリット
シュガーバッター法を使うメリットは4つあります。見ためや味にパウンドケーキらしさを求める人におすすめです。
- 一番基本的な作り方でレシピが多い
- ぷっくり膨らみ綺麗な割れができやすい
- ずっしりしつつもほろりと崩れる食感
- パウンドケーキらしい濃厚な甘さがある
パウンドケーキの作り方 【フラワーバッター法】
フラワーバッター法の基本的な作り方は以下の通りです。
- クリーム状のバターと粉類をあわせてよく泡立てる
- 砂糖を数回に分けてあわせる
- 全卵を数回に分けて加える
- 焼成

乳化の心配要らずなシンプルな作り方です。シュガーバッター法と同様にバターは20℃〜22℃、卵は24℃で用意しましょう。
フラワーバッター法のメリット
フラワーバッター法を選ぶメリットは3つあります。乳化が苦手だけどパウンドケーキらしさは残したいという人におすすめです。
- 乳化の失敗が少なく簡単に作ることができる
- しっとりなめらかに仕上がる
- あっさりした味わいなのでフルーツや抹茶などのフレーバーと相性がいい
パウンドケーキの作り方 【ジェノワーズ法】
ジェノワーズ法の基本的な作り方は以下の通りです。
- 全卵に砂糖を加え湯煎で人肌くらいまで温める
- ハンドミキサーでリュバン状になるまで泡立てる
- ふるった粉類を2回に分けて混ぜ合わせる
- バターを人肌くらいの温度に溶かし③の生地の一部とあわせてしっかり乳化させる
- ④を全て③に加えさっくりと混ぜ合わせる

よく膨らむので型に対して入れすぎないようにしましょう。溶かしバターを使用するのですぐに作り始めることができます。乳化を成功させるポイントは④の生地の一部と合わせることです。ここでは気泡が潰れることを気にせずしっかり混ぜましょう。その他は気泡を潰さないようにさっくりと混ぜます。
ジェノワーズ法のメリット
ジェノワーズ法を使うメリットは5つあります。バターの香りを楽しみたい、軽い仕上がりが好みの人におすすめです。
- 確実に乳化が成功する
- ふんわり食感に仕上がる
- よく膨らむので材料が比較的少なくていい
- バターの風味が強くコクを感じる
- 気温に左右されず年中仕上がりが安定する
まとめ
パウンドケーキの作り方は数種類あり、その中でも
- シュガーバッター法
- フラワーバッター法
- ジェノワーズ法(共立て法)
の3種類で焼き比べた結果、食感と見た目に差が出ることがわかりました。
全て一般的なレシピ(4同割にベーキングパウダーを加えたもの)で同じ分量、同じ条件で焼成しました。その結果は以下のとおりです。

食感や見た目に差がでたものの、どの方法も美味しく仕上がりました。
お菓子作りや美味しさの感じ方は十人十色。楽しくお菓子作りをするには自分の好みを知り、理想の味に近づけることが大切です。この焼き比べがレシピ選びやオリジナルレシピ作りの参考になると嬉しいです。
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